・<REGZA>32S20 [公表遅延0.05F](32型)
・<BRAVIA>KJ-32W730C [公表遅延0.1F](32型)
・<VIERA>TH-L19C50 [遅延公表なし](19型)
※以下、型番ではなくブランド名で記述する。
結論を先に述べると、
BRAVIAが最も遅延が小さく、
REGZAが最も遅延が大きかった。
詳細や調査法を書く前に、なぜ公表遅延に反する結果になったかだが、
遅延には回路遅延とパネル遅延の主に2種類が存在する。
公表されていた遅延は両者とも回路遅延を指している。
そのため、BRAVIAのパネル遅延がREGZAとの回路遅延差を覆す性能
だったのだろう。
今回の調査方法としては、LCD Delay Checkerというツールを使って画面に数字を高速表示し、2台のテレビにPCからの映像を分配して出力したものをデジカメで撮影して
両テレビに映った数値の差異を写真で確認するというもの。
調査端子はHDMIとコンポジット端子(1回の撮影では2台のテレビ間で端子を揃える)。
LCD Delay Checkerダウンロードサイト
http://bygzam.seesaa.net/article/110314791.html
なお、BRAVIAとREGZAには遅延を軽減するゲームモードが搭載されているため、それを使用する。
まずはHDMIでの比較
※シャッタースピード1/4000 左VIERA、右REGZA
回路遅延0.05Fを謳う32S20がゲームモードすら搭載していないVIERAに2Fも負けている。http://bygzam.seesaa.net/article/110314791.html
なお、BRAVIAとREGZAには遅延を軽減するゲームモードが搭載されているため、それを使用する。
まずはHDMIでの比較
※シャッタースピード1/4000 左VIERA、右REGZA
シャッタータイミングとのかみ合わせもあるため、必ずしも丸々2Fの遅延があるわけではないかもしれないが、1F以上あるのは確かだろう。
次の調査画像。
VIERA側の文字が若干ブレているが、一応1Fの差異を示している。しかし、
これもシャッタースピード1/4000秒でのVIERAとBRAVIAの比較だが、VIERA側に数字のブレもなく、両者は全く同じ内容を示している。これはまさに先述した通り、「シャッタータイミングとのかみ合わせ」により結果が異なったのだろう。このことから、両者の遅延差は1F未満であると推察できる。
HDMI端子でのBRAVIAとREGZAの直接比較は行っていないが、間にVIERAを挟んだため、遅延の大きさとしては
BRAVIA < VIERA < REGZA
という結果が導ける。
次はコンポジット端子での比較。
まずはVIERAとREGZAの比較。
なかなか両画面が映った写真が取れなかったため、シャッタースピードを遅らせた。
この写真では時間部分こそ指し示す値は同じであるが、ブレの具合と上のフレーム数から1F弱ほどの遅れがあるようにも感じる。
しかし下の写真ではその差異が分からない(シャッタースピードを更に落としたせいもあるかもしれないが)。
だが左の円環を見ると、VIERAの方がわずかに早く進んでいる。このため、1F以下ではあるもののやはりコンポジット端子でも遅延は存在するようだ。
こちらはVIERAとBRAVIA。
時間だけを見ると1Fずれているようだが、上のフレーム数はVIERA側が少しブレているだけで2を示している。
このことから、HDMI端子に続き、コンポジット端子に対しても遅延の大きさの図式は
BRAVIA < VIERA < REGZA
が導ける。
以上のことをまとめると、遅延の大きさは下記のようになる。
【HDMI端子】
BRAVIA <(0~1F未満)< VIERA <(1~2F未満)< REGZA
【コンポジット端子】
BRAVIA <(0~1F未満)< VIERA <(0~1F未満)< REGZA
今回の調査結果から、企業のカタログスペックに頼り切った選択をしてはいけないことが分かった(回路遅延のみにしか触れていないから嘘は騙ってないことに注意)。
しかし、遅延については実際に調べてみなければわからない。私は今回遅延が大きかった方を売るつもりでとりあえず両方買ってみたが、最初からいくつかに絞っていないとキリがないだろう。
参考までに私が今まで試した中で遅延が少なかったテレビをメーカーで挙げると、SONY、東芝、Panasonic、ドウシシャがある。
それらの中から更に厳選する時は家電量販店などでゲーム機持参で試遊できるか聞いてみる手がある。実際に試してみるとラグや画質が分かってかなり参考になる(遅延の無さは随一なのに画質があんまりで候補から外れたド〇〇〇ャ・・・)。
また、その際にはSFCの星のカービィSDXの刹那の見斬りをやってみてタイムがどう違うかを調べれば大変参考になる。案外毎回安定して同じタイムが出るため有用。(例えば、メーターの数値は1/60秒ごとに1上がるため、家のテレビで安定して11を出せるのに店頭のテレビだと安定して12の場合、コンディションや環境を考慮しなければテレビの遅延差は家のテレビと比較して1/60秒であることが分かる)
※考案:まどら(@WaddleDX)さん
ちなみに画像は省くが、うちのPCモニターのG235HとVIERAを試したら、遅延差1F未満でG235Hの方が少なかった。
P.S. 画質について
さて、遅延に関してはBRAVIAが優れていることが分かったが、画質に関してはそうとも言えなかった。BRAVIAは調整なしでの初期状態ではぱっと見で分かるレベルで画質がREGZAに劣る。
↑REGZA
↑BRAVIA(設定調整後)
まずコントラストの範囲が劣っている。さらに全体的に粗く、洞窟大作戦
の枠上部にはREGZAにはない謎のギザギザまで存在している。大枠の緑枠もギザギザしている。
↑REGZA
↑BRAVIA(設定調整後)
写真の撮り方が下手でBRAVIAの方が画面が綺麗に見えてしまっているが、実際にはREGZAの方が上。この写真で注目すべきは画質よりもコントラストである。カメラではうまく表現できなかったが、実際に見比べてみるとBRAVIAでは遠方は砂でも舞っているかのように少し黄色がかっていて、緑や地面の色も薄い。
ちなみにREGZAはハーフHDでBRAVIAはフルHDである。ブルーレイを見ると細かい描写はBRAVIAが勝っているものの、色合いではREGZAが勝っているように感じた。
よほど遅延を気にしない限りはREGZAも十分使用に適うレベルであるため、ゲームの画質を重視するようならREGZAがいいだろう。しかし、現行のVIERA32型も今回のような詳細調査はしていないものの、刹那の見斬りをする限りでは遅延がなかったため、画質と遅延のバランスはVIERAが最も良いかもしれない。
ただし、VIERAの場合はゲーム中に暗転シーンがあると暗転明けに画面が上下にブレる。昔のテレビの電源投入時のようになるため、購入を検討する場合は一度試遊してみるのが良いと思われる。
追記(2018/01/29)
同様の計測法で<SHARP>LC-20S4と比較したところ、<BRAVIA>KJ-32W730Cより遅延が1F未満小さかったが、刹那の見切り測定法で試すと、BRAVIAではほぼ毎回12、早くて11なのに対し、SHARPではほぼ毎回10.早いと09と、明らかに<SHARP>LC-20S4の方が遅延が少ないように体感できる結果となった。
追記(2018/07/28)
<REGZA>32S20はフルHDではないが、音質に関しては<BRAVIA>KJ-32W730Cより上だった。というか<BRAVIA>KJ-32W730Cはスピーカーが下を向いているので音が聞こえにくい上に音質も悪い。一度別のテレビやスピーカーで聞き比べるともう戻れなくなるくらいに悪い。よほど音を軽視しない限りは外部スピーカーの購入をお勧めする。
追記(2019/01/20)
2018/12/30にブラウン管でも刹那の見切りを試したところ、<SHARP>LC-20S4より遅い11,12という記録になった。コンディションだけで2F変わっていることもあるかもしれないが、ブラウン管によっては液晶より遅延があるものがあると考えた方がいいかと思われる。実際、ブラウン管の中でもこの型番のは遅延が少ないというような情報を聞いたことがある。
追記(2019/09/23)
執筆時に相談させていただいた方の参考になる記事
「ブラウン管は無遅延」の嘘
追記(2019/12/14)
同月12日に配信されたSDXで<BRAVIA>KJ-32W730CとSwitchの組み合わせでHDMI端子を使用して検証したところ14,15だった。
追記(2020/02/24)
2019年にドウシシャの19型テレビを買った方は遅延が大きかったと言っていたという情報が入りました。現在ドウシシャ製全てが低遅延と言う状況にはないようです。
追記(2020/08/07)
雑な検証動画
https://youtu.be/guCOBYznHDo