新たな世界記録は313,450点。前世界記録より10点高いというゲーム中最小単位での更新となるが※、31万点を超えているプレイヤーは、世界中の猛者が記録を投稿するCyberScoreにすら7人しか存在しない。さらに当時の小学生の本気が25万点、ハイスコアアタックガチ勢の境界が30万点と言われる中でこの点数は圧倒的である。
そして驚くべきは、この世界記録が他2種の北米版・PAL版と比べて不利だといわれている日本版で叩き出されたということである。
※翌日さらに30点更新された。
新記録の証明画像(黒歌鳥氏のツイートより)
他写真も合わせた動画 https://www.nicovideo.jp/watch/sm34755359
他写真も合わせた動画 https://www.nicovideo.jp/watch/sm34755359
日本版が他2種と比べて不利な点は2つある。操作fpsが高いことと、自機(ゼロワン号)の速度が早いことだ。
まず日本版・北米版とPAL版を比較すると操作fpsが異なる。日本版と北米版が操作30fpsなのに対し、PAL版は操作25fpsである。これは例えば猶予1フレームの撮影する際に、30fpsであれば1秒単位で考えた時に1/30秒を正確に狙う必要があるが、PALの25fpsでは1/25秒と猶予が増えることになる。
次に日本版と北米版・PAL版で比較すると自機の速度が異なる。日本版では自機が一部のコースで早いため、ポケモンの誘導や撮影の難易度が上がり難しい。
また、これらのハード的な側面以外にも、撮影動画の多くが日本版ではなく北米版であることもそのまま日本版で同様の撮り方を導入できないことから日本版の難易度を上げる原因になっていた。
以上のことを踏まえて日本語版ではレポートハイスコア世界記録を出すことは至難の業、もしくは事実上不可能かもしれないとすら思われていたため、黒歌鳥氏の世界記録は最早新しく北米版で一からハイスコアタックを始めるほどの気力が起きないくらい既に日本語版でやりこんでいた我々日本版プレイヤーに勇気を与えてくれた。
さらに氏は尋常ならざる速度でハイスコアアタックを極めつつ(初見プレイ開始が2018/10/19で30万点到達が3週間後の2018/11/6。世界記録達成が2019/3/9)、各ポケモンで独自のセットアップを編み出し、加えてそれを動画にして投稿するという精神と時の部屋スタイルでプレイをしていた。その数38本。これにより日本版ユーザーはむしろ海外版ユーザーよりも状況的に優位に立った可能性すら出てきた。
また、氏はハイスコアを狙う上で重要な世界線の存在を明らかにし、これによりポッポやズバットのハイスコアアタックの効率が格段に上がるようになった。世界線については以下の記事、動画を参照のこと。
https://dic.nicovideo.jp/a/ポケモンスナップ学会
世界線の存在が示されたポッポのセットアップ動画 https://www.nicovideo.jp/watch/sm34109663
風来のシレン2の最果て99F RTAでの世界記録も持つ氏がポケモンスナップのハイスコアタックで頂点に立つまで5か月弱。他の強豪達に比べて経験の少ない氏は一体どのようにしてこの短期間で世界記録を打ち出すことが出来たのだろうか。その秘訣も含め、様々なことを伺ってみた。
*「世界記録達成おめでとうございます。ポケモンスナップを始めたきっかけは何ですか?」
黒歌鳥「ポケモンスナップ学会のメンバーで走っていた30万点RTA ※を視聴し、ハイスコアタックをしてみたくなったからです」
※1日で終わるかすら分からないという状態で4人のプレイヤーが協力して行なったRTA。リンク後述。
*「世界を掴もうとしたきっかけは何ですか?」
黒歌鳥「最初は30万点が目標で、それ以降は飽きるまでやろうと思っていて、今まで飽きてない。それがすべてですね。」
*「短期間で世界記録を達成された秘訣は何でしょうか?」
黒歌鳥「基本的には先人達の考案した方法での撮影ということをしてきましたが、それと併せて2つのことを実践しました。1つ目はプレイを録画した後で見返し、セットアップを確立させることで時間効率を追求したことです。2つ目は毎日5時間くらいプレイし、継続的に励んだことです」
*「苦労したことは何でしたか?」
黒歌鳥「1番の苦労と言うと世界記録を出そうとしてる時に1、2週間かけても記録が出ないと、次第に構図が悪いんじゃないかとか、セットアップを間違えているんじゃないかという不安と戦い続けないといけないことですかね※。あとは飽きとの戦いですね・・・。1週間ずっと同じポケモンを撮ってると他のポケモンを撮りたくなる誘惑を断ち切るのが大変でした。半分くらい断ち切れてませんけど。」
※ポケモンスナップの単独世界記録が狙えるポケモンは基本的に原理上、理論値が分からない。
*「今後はどのようなことに挑戦していきたいですか?」
黒歌鳥「前人未到のハイスコア314,000点超えが1つの目標です。もう一つは原点である30万点RTAを一人でどこまで詰めることができるのかに挑戦しようと思っています」
*「最後に何か一言はありますか?」
黒歌鳥「今なら31万点もそこまで敷居が高くないと思うので、ぜひ皆さんに目指してもらいたい。30万点からでいいから!」
iモードサービス開始という遥か昔の20年前に発売されたポケモンスナップ 。毎月写真コンテストが開かれ、昨年末に開催されたRTAオフラインイベントRTA in Japanでも採用され、多くのファンを熱狂させた未だ衰えを知らずオフラインアップデートも繰り返されるゲームである。
この大きなうねりはまだまだまだまだ止まらない。
<参考リンク>
【20周年記念イベント】https://t.co/ZQX0d8iOkN
【月例写真コンテスト】https://ch.nicovideo.jp/myu_zero/blomaga/ar1734765
【RTA in Japan3】https://youtu.be/_57q2z7Rhao
【30万点RTA】https://youtu.be/_57q2z7Rhao
【仲間ニャース解説】https://ch.nicovideo.jp/myu_zero/blomaga/ar1625273